目次
ワードプレスとは
ワードプレスは誰でも無料で利用できるブログ管理ソフトです。
日本でも、また、世界でも圧倒的な人気を誇り、2017年4月調査時点ではWebサイトにおけるワードプレスの利用率は27.8%、CMS(コンテンツマネジメントシステム)の中では58.8%と断トツの人気を誇っています。
Usage of content management systems for websites
オープンソースのソフトウェアで、おしゃれで高機能なテンプレートや拡張機能(プラグイン)が豊富に存在します。それらが簡単にインストールできて利用できるため、利用しやすい、使いやすい、機能が豊富であることが人気の理由ではないでしょうか。
また、アメブロやLivedoorブログのブログサービスのようにサービス提供元からの制約がありません。
自分自身で書きたいものやルールを決めることができます。
ワードプレスを利用するメリット
無料である
上で述べたように無償で利用できるブログ管理ソフトです。
ただし、ソフトウェアが無償であって、ソフトウェアをインストールするレンタルサーバー代、独自ドメイン代(独自ドメインで運営するなら)、有償版のテーマ・プラグインは別途費用が発生します。
ただし、スペックに拘らなければサーバー代500円(月額)、ドメイン代700円(年額)でワードプレスのWEBサイトが運用できます。
ちなみに、下記URLのワードプレス運営団体自体が提供するサービスを利用すれば、機能制限はあるものの、無償でインターネットへの公開ができます(独自ドメインではないです)。
URL: https://ja.wordpress.com/
広告表示がない
ワードプレスは広告表示がありません。
インターネット関連企業が提供するブログサービス、WEB上でホームページ作成サービスを提供する企業のWEBサービスを利用する場合は、大抵の場合、記事の上や横や下に広告が掲載されています。
サービス利用料を払うと広告の表示可否が選択できるものが多いです。
個人で利用されているブログはよいかと思いますが、会社やお店のホームページに広告を載せることは、訪問者への印象があまりよくないですよね。
また、場合によっては競合他社の広告が自サイト内に掲載されたります。それらの内容を踏まえると、広告表示は表示されないこと、選択できることが好ましいと思っています。
操作が簡単
テーマをインストールするだけでデザイン変更が出来たり、プラグインをインストールするだけで拡張機能が使えたりと、簡単な操作で構築、カスタマイズが可能です。
また、初期状態でブログシステムの基本機能が提供されています。
アメーバブログやライブドアブログのようなブログシステムでブログを書くような感覚で記事が作成ができます。ただ本格的に拘ったホームページを作りたい場合はHTMLとCSSの知識が必要です。
CMSである
ワードプレスは、システムで分類するとCMS(コンテンツマネジメントシステム)にあたります。
CMSとはその名の通り、コンテンツ(文章や画像や動画)を管理するシステムです。このシステムのおかげで、記事、画像や動画のアップロード、配置、管理が容易になります。
テーマ(テンプレート)機能がある
ワードプレスの最大のメリットの1つがこのテーマ機能です。
テーマはワードプレス特有の用語で、一般的にはテンプレートという表現になるかと思います。世界中のWEBデザイナーやWEB制作者が作った質の良いテーマが豊富に存在し、これから発信したい内容に合ったテーマが必ず見つかるかと思います。
有償のもの、無償のものが存在しますが、無償でも十分すぎるほどの機能を備えたテーマも存在します。
初めての方は、まずは人気のテーマをインターネット等で調べてインストールしてみましょう。また、いきなり有償のものを利用するのは控えましょう。無償で十分なテーマは沢山存在します。
プラグイン機能がある
こちらも最大のメリットの1つであるかと思います。
プラグインは拡張機能のことで、ワードプレスをインストールしたときの初期機能以外の機能を追加するもの、拡張するものがあります。
このプラグインも、世界中の開発者が作った質の良いプラグインが豊富に存在し、これを無償で使って良いの?と思えるほど高機能なプラグインが存在します。
プラグインの例を挙げると、お問い合わせ機能、SEO対策補助機能など、WEBサイト運営に欠かせないようなプラグインがあります。
SEO対策になる
「ワードプレスはSEOに強い」とどこかで聞いたことがある人も多いかと思います。
この噂の完全な裏付けとまではいかないですが、2009年に開催された「WordCamp San Francisco 2009」でGoogleの開発責任者(当時)であるマット・カッツ氏がそのようなニュアンスの発言をしています。
とはいえ、ワードプレスを使えばSEOに対して万能であるという訳ではありません。
改めて、発言の内容を深読みすると、「ワードプレスはシステムの構造と機能がSEOの概念に準拠してくれる」といった解釈が最も適当ではないかと思います。
内部対策に優れたプラグインがたくさんあったり、URLの正規化、自動でHTMLタグを入れてくれたりしますので、このあたりが強いですよ、と言ってたのだと思います。
また、SEOに関して言えば、現在はコンテンツ重視です。質の高い良記事を書くこと自体がSEO対策になります。
※補足すると「キーワード選定してユーザーのニーズに則した質の高い記事」がSEO対策になります。
ワードプレスのデメリット
メンテナンスはご自身で
メンテナンスはご自身で実施しなければなりません。
とは言っても、ワードプレスの更新は自動で行われますし、プラグインやテーマのアップデートもボタン1つで実施できます。
かなり稀ですが、プラグイン更新後にエラーが出たりするときはQAサイトやクラウドソーシングなどを利用する方法がよいでしょう。
サポートがない
オープンソースのソフトウェアなのでサポートがありません。
どうしても解決したい内容があったら上述したようにQAサイトやクラウドソーシング、技術的なやりとりができるコミュニティサイトを利用して解決を図る方法が良いかと思います。
学習時間コスト
機能が豊富であるがゆえ、基本的な機能を覚えるのもやや時間がかかります。
ただ、ワードプレスは有名で人気で利用率が高いシステムなので、分からなかったり探している情報はインターネット上でほとんど見つけることが出来ます。
また、本サイトでも基本機能について解説しています。読んで知識を深めたい、確認したい機能がありましたらトップページの目次からその名称をクリックして下さい。
ワードプレスはアフィリエイトにぴったり?
ワードプレスはアフィリエイトがやりやすいのではないでしょうか。
他のブログサービス(アメブロやLivedoorブログ)は大手のサービスですので集客力は高いですが、アフィリエイト可能な商品・サービスが限定されていたり、システムの仕様で掲載できる箇所が限定されていたりします。
また、当然ながら法人が事業として行っているため、サービスの利用規約があります。意図しているいないに関わらず、規約に違反していた場合はアカウント削除される可能性があります。
もう1つ、ブログサービスのドメイン(ameba、livedoorなど)がGoogleのペナルティーを受けたら、一緒にその影響を受けます。
このあたりのリスクや制限を考えると、アフィリエイト用にブログを書くのであれば、初めからワードプレスを選択した方が良いかと思います。
さらに、ブログを書いてアフィリエイト商材のリンクを貼るだけであれば、時間もコストもあまりかかりません。月のコストはサーバー代の約500円、リンクの設置箇所も自由です。デザインもおしゃれなテーマをインストールすればかなり綺麗なデザインになります。
ただ、先にも書いたように大手サービスのため初めたばかりでもアクセスが集めやすい、セットアップも不要で無料ですぐ始められるといったメリットがあります。
なので、ブログサービスが全くダメと言っている訳ではありません。
ワードプレスインストール後にやっておきたいこと
サイト名を決める
まずはサイト名を決めましょう。そして、あとで変更することが無いようにしましょう。
というのもサイト名はSEOでとても重要な箇所です。Googleが認識し始めてから変更するのは大変もったいないです。また、企業サイトであれば会社名でOKですが、SEO対策が重要になるアフィリエイトブログやオウンドメディアではなるべくキーワードが入ったタイトルにしましょう。
サイト名経路: ワードプレス管理画面 > 設定 > 一般
キャッチフレーズを空にする
利用するテーマによって挙動が変わるため、意図せず変な箇所にここで決めた文言が入ることがあります。
なので安定的な運用と構築を重視して、空欄にすることをおすすめしています。
キャッチフレーズ経路: ワードプレス管理画面 > 設定 > 一般
パーマリンクを決める
パーマリンクは記事や固定ページのURLの規則を決める箇所です。
詳しくは「パーマリンク設定」を参照頂ければと思いますが、結論だけ書くと、パーマリンク設定は以下のどちらかがおすすめです。
- http://ドメイン名/カテゴリー/タイトル
- http://ドメイン名/タイトル
パーマリンク経路: ワードプレス管理画面 > 設定 > パーマリンク設定
コメント・被リンク関連のオンオフ
こちらも、ワードプレスインストール後にすぐにやっておきたい大事な箇所です。
企業ホームページのようなサイトを構築する場合は、お問い合わせフォームを設置しておき、そこからのみユーザーの質問を受け付けるような作りが多いかと思います。
ニュースやコラムも情報発信のみで、コメントは出来ないようにしている企業ホームページが多いのではないでしょうか。また、企業が運営するオウンドメディアでも同様かと思います。
個人で運営するブログサイトの場合でも、コメントを受け付けるか、非表示にして情報発信のみにするかは早めに決定しておきましょう。
コメント初期設定経路: ワードプレス管理画面 > 設定 > ディスカッション
Akismetを有効化する
スパムコメントを自動判定振り分けしてくれるプラグインです。
このプラグインがオフの状態でコメント可の状態で放置しておくとスパムコメントが大量に受信されることがあります。こちらは早めに有効化しておきましょう。
WP Multibyte Patchを有効化する
WordPressにおけるマルチバイト(日本語など)の取り扱いに関する不具合を制御してくれるプラグインです。
例えば、メディアに画像をアップロードするとき、画像ファイル名が日本語であった場合はサニタイジング(一般的な文字に変換)してファイルを保管してくれます。
日本語であることに関する不具合を回避できますので、こちらも有効化しておきましょう。
ワードプレスに入れておきたいプラグイン
Yoast SEO
https://ja.wordpress.org/plugins/wordpress-seo/
ワードプレスのSEO対策プラグインと言えばAll in One SEO Packが最も有名です。ただ、機能が豊富すぎるため、初心者には取っ付きづらいかと考えています。そこでおすすめしたいのがYoast SEOです。
Yoast SEOはAll in One SEO Packより設定項目数はだいたい同じですが、整理されていてシンプルさがあり、使い勝手が良いプラグインです。
TinyMCE Advanced
https://ja.wordpress.org/plugins/tinymce-advanced/
Wordのような感覚で文書が装飾できるようになる、ビジュアルエディタ機能を拡張するプラグインです。
書体変更から文字色の変更、リストの作成などが簡単にできるようになります。表の挿入、動画の挿入も簡単にできるようになり、ライティングの効率と表現を大幅にアップしてくれます。
Contact Form7
https://ja.wordpress.org/plugins/contact-form-7/
お問い合わせページが簡単に作れるプラグインです。
ほかに有名なお問合せページ作成用プラグインにMW WP Formがありますが、Contact Form7の方が有名です。
企業ホームページを構築する場合、お問合せページは必須かと思いますので、どちらかのプラグインを入れておきましょう。
入力フォームを一から作成しようとすると相当大変ですが、ワードプレスはプラグインをインストールするだけでほしい機能が付けられるため大変便利ですね。
Table of Contents Plus
https://ja.wordpress.org/plugins/table-of-contents-plus/
目次を自動で作成してくれるプラグインです。
記事内の見出し(HTMLタグの<h1>~<h6>)を読み取って自動で記事の上の方に目次を生成してくれます。目次を入れることは、その見出しに従って記事を作成するので文章が整理されます。ユーザビリティが向上するためSEO対策に良いと言われています。
ワードプレス人気のテーマ
人気のあるテーマをいくつか紹介したいと思います。
ちなみに本サイトはSimplicityを採用しています。
Twenty Seventeen
2017年のWordPress.orgの公式テーマ。
トップページに大きなヘッダー画像を使っているのが特徴です。また、固定フロントページの機能が優秀で、フロントページを固定ページにするとカスタマイズにテーマオプションが出現し、フロントページに4つの固定ページを見せることができます。
現在流行りの1ページで全体の概要を伝えるトップページが簡単に作成できます。
ブログサイト、企業ホームページの両方に対応している秀逸なテーマです。また、WordPress.org公式テーマなだけあって安心して利用することができますね。
BizVektor
https://bizvektor.com/about/download/
企業ホームページを作るための機能と項目がほぼすべて揃っているとても優れたテーマです。
ところどころ制限があるものの、無償で利用するには十分過ぎるほど高機能なテーマです。
もちろん、スマホ対応されており、ユーザビリティにも優れたテーマです。難点は高機能がゆえに設定項目が多いことでしょうか。ただ、それもプラグインをインストールする手間が省けると考えると良いことだと思います。
公式テーマにも登録されていますが、最新版ではない可能性があるので、Bizbektorのサイトからダウンロードしてワードプレスにアップロードしましょう。
Simplicity
https://wp-simplicity.com/downloads/downloads2/
内部SEO対策が施されており、SEOに強いためブログやアフィリエイトサイト構築に人気の国産テーマです。
無料で利用できますが公式テーマではないため、テーマをSimplicityのサイトからダウンロードしてワードプレスにアップロードする必要があります。
コミュニティも活発で、開発者である”わいひら”さんがとても丁寧に回答してくれます。
Zelif lite
https://ja.wordpress.org/themes/zerif-lite/
2015年にリリースされて以降、高い人気を誇り続けているワードプレステーマです。
こちらもTwenty Seventeen同様、トップページがランディングページのようにすることができ、サイトの概要を1ページで伝えることができます。
大手企業も利用しているワードプレス
ワードプレスはオープンソースのためソフトウェア使用料なしでWEBサイトの構築ができます。
そのため費用を抑えたい個人や中小企業でユーザーが多いですが、利用しやすくシステム的に優れているCMSだということでしょうか。大手企業の一部もホームページやオウンドメディアをワードプレスで制作しています。
ここではその大手企業の利用事例を5社ほど紹介したいと思います。
博報堂
日本の超大手企業の1つ、博報堂は自社ホームページをワードプレスで構築しています。
中身は完全オリジナルデザイン(既存テーマのデザインを使っていない)です。サイト内でニュースやコラムを発信しているため、コンテンツ量が膨大です。このコンテンツ管理と運用のためにワードプレスを採用したのではないでしょうか。
ちなみに、ログイン画面の前にベーシック認証によるセキュリティ対策がされていますね。
クックパッド
日本最大のレシピサイトを運営するクックパッドのホームページもワードプレスで構築されています。
文字の色、書体、全体的なデザインはレシピサイトの方のクックパッドに合わせた形になっていて、レシピサイトとの統一感が感じられます。
松屋フーズ
https://www.matsuyafoods.co.jp/
牛丼の松屋でおなじみの松屋フーズ。画像をふんだんに使っていて、読むより画像による訴求力を大事にしているように感じます。
店舗で提供しているメニューを掲載していますので、推測の域ですが、このあたりの改変作業の容易さでワードプレスを選択したのでしょうか。
カカクコム
価格比較サイトの価格.com、飲食店評価サイトの食べログを運営するカカクコムのコーポレートサイトはワードプレスを採用しています。
ニュースやプレスリリースなどの情報が管理しやすそうですね。
ミクシイ
最も普及した国産SNSのmixiを運営する株式会社ミクシィもワードプレスを採用しています。
トップページがランディングページのようになっていて、1ページで会社が訴求したいことがしっかりまとまっていますね。
IR情報やサービス情報は逐次追加更新されていくため、ワードプレスを使うとこのあたりの管理が楽になりそうですね。
ワードプレスを作っている言語(PHP)について
ワードプレスはPHPというプログラミング言語で作られています。
PHPとは、ワードプレスのようなWEBシステムの開発によく利用されるスクリプト言語です。
PHPで書いたプログラムはサーバー側で処理され、その結果をブラウザに返す動作をします。
ちなみにブラウザ(クライアント)サイドで実行するプログラミング言語にはJavaScriptなどがあります。FTPなどでワードプレスのフォルダ内を除くと、拡張子が.phpとなっているファイルがたくさんあるかと思います。これら1つ1つがワードプレスを動かしています。
ワードプレスはトップページでは基本的に4つのPHPファイルを読み込んで実行されています。
・header.php
HTMLタグで言うと<html>から<body>の一部までを扱っています。
サイトタイトル、メニューバー、ヘッダー画像を取り扱う場合が多いかと思います。
・sidebar.php
右または左にあるサイドバー部分(ウィジェットで追加できる箇所)を扱っています。
・footer.php
画面一番したの部分。コピーライトやフッターメニューを扱っています。
・index.php
トップページ用のファイルです。上記3つをまとめます。
MySQL
ワードプレスの情報(データ)を格納するデータベースです。
通常のWEBサイト(特にホームページなど)はHTMLファイルに直接文章が書かれますが、ワードプレスは、投稿や固定ページで書いたタイトルや本文はデータベースに格納され、アクセスがあったときにデータベースから引っ張ってきてブラウザにその情報が表示されるという仕組みになっています。
従って、前者はHTMLファイルという実体があるのに対して、後者は実体がないということになります(画像ファイルは実体有)。
なので、ワードプレスを使うには「データベースを作成する」という作業が必要になりますが、現在のレンタルサーバーは高機能ですので、データベースの作成を自動で実行してくれるものが多いです。
「ワードプレスを利用するためのレンタルサーバー契約手順&ドメイン取得」で推奨しているXSERVERは自動インストール機能が付いています。
また、MySQL以外のデータベースも利用できるようにしてほしいという要望があるようですが、公式サイトでは以下のように述べています。
現在のところ、公式な WordPress のディストリビューションは MySQL データベースエンジンのみに対応しています。
レンタルサーバー選定時のチェック
上記で説明したように、ワードプレスをインストールして動かすためにはPHP実行環境とデータベース(MySQL)がサーバーに入っている必要があります。
月額100円ほどの超格安レンタルサーバーはPHPとデータベースが入っていなかったりします。
レンタルサーバー選定時には必ずチェックしましょう。
まとめ
- ワードプレスはオープンソースのブログ管理ソフト
- テーマ、プラグインが豊富
- ご自身での管理・メンテナンスが必要
- 大手企業でも結構利用されている
- レンタルサーバーはPHPとMySQLが入っているサーバーを選定する